サンドロ・ボッティチェッリ『ビーナスの誕生』/ウフィッツィ美術館(フィレンツェ)
今回記事にしたいのは「混ぜ合わせる」という意味のラテン語が語源の絵画の技法、
『テンペラ画』です。
それでは今回の記事は
昔の人達の工夫や努力が少しでも伝わり
その努力の先に僕たちの現在があるんだと言う事を知ったうえで
絵を描いて行くのも良いんじゃないかと思い、
「テンペラ画」について話していこうと思います。
テンペラ画とは!?
顔料と卵を混ぜ合わせた絵の具で描いたものを『テンペラ画』と言います。
なんで卵~っ?
しかも、生卵ですよ。
確かに・・。
でもそれが、虫もわかないし、腐りもしないのです。
その話は次回に。
絵を壁やキャンバスに描く時、顔料が剥がれ落ちない様にするために、
定着させなければなりません。
今は便利なことに、定着剤をわざわざ混ぜなくても、
最初から混ざっています。
でも油彩画もアクリル画もなかった約500年前では、
絵を定着させるために、乳化作用を持つ物質を固着剤として、
顔料に混ぜて描いていました。
乳化作用を持つ物質には、卵・カゼイン・膠があります。
その中でも卵を混ぜて作るものが、ルネサンス期に頂点に達します。
テンペラ画は西洋の美術史において大きな存在であり、
油絵にはない独特の美しさと奥深さをもつ絵画です。
テンペラ画の歴史
テンペラ画は起原5~6世紀、ロシア・イコンの宗教画から始まりました。
当時、僧侶が修行の一つとして、聖書の場面やマリア様を複数人で分担して描いていました。
だから、この時の作品は作者が不明なのです。
イタリアで始まったらしいよ。
1300年後半から、欧州イタリアを中心にテンペラ画が注目され始めました。
その後、ルネサンス時代が到来し、芸術が大きく開花していきます。
この時代はテンペラ画が最も技術的・芸術的にも発達して、
多くの素晴らしい絵画が世に出されています。
しかし15世紀には、油彩画の出現で、テンペラ画の時代は終わります。
けれど20世紀に入ると、油彩との併用による混合技法で描く画家が表れ、
その素晴らしさに、テンペラ画は絵画技術として再び注目を集めるようになりました。
テンペラ画の魅力
テンペラ画は、油絵具とは違い、乾くと色調が数段明るくなります。
色彩の発色の良さ、細い線を重ね合わせて描く描線の美しさが
テンペラ画の魅力です。
また、テンペラ画は乾きが早く、乾けばすぐに塗り重ねることができます。
数日間乾燥すると水に溶けなくなり、丈夫で耐久性が高く、
色彩の鮮やかさが数百年も続くことも大きな魅力です。
500年以上前に描かれたルネサンス時代の名画は、
今も損傷が少なく、美しい状態で残っています。
テンペラ画については、
わかりやすく解説!【テンペラ画】その② で、
テンペラ画の種類や特徴についてお話したいと思います。
もし他の技法の事でもっと知りたくなったら
上の「サイトマップ」を見てみて下さい
必ず探していた情報があるだろーと思います。
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