2017年11月のオークションで、
美術品史上最高額がついた絵画の秘密にせまりたいと思います。
それは、イタリア・ルネサンス期を代表する巨匠
レオナルド・ダ・ヴィンチの『サルバドール・ムンディ(救世主)』という油彩作品です。
オークション史上最高額の4億5030万ドル(手数料込)日本円で約508億円という高値で落札されました。
508億って・・・
全然ピンとこないですね~
WBSニュースで「牛丼を3食毎日食べた場合・・」とかって例えてたけど。
よけいにわからんわ~っ!!
ちなみに、「12万年間食べ続けられる」そうです。
驚異の高値を出した作品はこれだ!
サイズ 横45.4cm×縦65.6cm
世界の救世主としてイエス・キリストの肖像が描かれています。
「男性版モナリザ」と呼ばれることがあります。
絵画をあまり知らない人でも、
『モナリザ』は誰もが知っていますよね。
それと同じ作者です。
ルネサンス風の青いローブを着たキリストが、
右手を上げ、左手には水晶玉を持って、祝祷を行っています。
十字架で貼り付けになり、復活した後のキリストを描いたものです。
制作されてから史上最高値がつくまで
1490年~1519年 制作
フランスのルイ12世のために描かれたとみられる
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英国王チャールズ1世(1600~1649)に所有される
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1651年 公益を目的として売られる
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1763年 バッキンガム公の息子がオークションに出品し、そこから長期間行方不明に
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1900年 イギリス貴族モンセラート伯のフランシス・クックが所有していたと判明
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1958年 ロンドンでオークションに出品
当初、多くの専門家たちにダ・ヴィンチの作品ではないと鑑定され、
わずか45ポンド(6600円)で落札される
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2005年 再び売りに出され、1万ドル程で、美術商が共同で購入する
ダ・ヴィンチの作品ではないかと疑いを持ち、修復家に洗浄させたところ、下からこの絵が表れた
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6年に渡る鑑定により、ダ・ヴィンチの真筆と証明される
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2011年 ロンドンのナショナル・ギャラリーで初めて展示され話題に
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2013年 サザビーズのオークションで、スイスの美術商イヴ・ブービエが8000万ドル(約90億円)で落札
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ロシアの富豪ドミトリー・E・リボロフレフが1億2750万ドル(約140億円)で買い取る
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2017年11月15日 ニューヨークのクリスティーズのオークションで4億5030万ドル(約508億円)で落札される
リボロフレフが1億2750万ドルで購入した後、
実は売主の美術商ブービエが仲介料だけで4750万ドル(53億円)も儲けてたのが分かり、
「詐欺だ!」と訴えました。
そしてブービエは所有するジュネーブの美術品用の倉庫や運送会社を売却せざるを得なくなったそうです。
でも、今回のオークションでリボロフレフは3億2000万ドル以上も儲けたことになりますね。
こうなるとわかっていたら、4750万ドルぽっち、許してあげれたのにね。
最高額で落札したのは誰!?
それでは一体、どこの誰が落札したのでしょうか?
それは・・・
サウジアラビアのムハンマド・サルマン皇太子です。
ムハンマド皇太子は、国防省を兼任するほか、経済政策を担当、
脱石油化を目指す改革プラン「ビジョン2030」を主導する権力者だそう。
この作品は、ルーブル美術館アブダビ分館で観れるようです。
なぜこんな高額がついたのか?
この不思議な魅力のある表情は、
確かに『モナリザ』を彷彿とさせるものがありますね。
この絵は当初、1億ドル(約112億)で落札されると見込まれていたのが、
4倍以上に跳ね上がりました。
現存するダ・ヴィンチの作品は十数点で、
この作品以外は全て博物館が所蔵しています。
よって『サルバドール・ムンディ』は個人所有としては唯一のダ・ヴィンチ絵画となるわけです。
「最後のダ・ヴィンチ作品」とまで言われているのだそうです。
でも、いくら貴重で素晴らしい作品だとしても、
この金額は破格も破格ですよね。
結局のところ、オープンしたばかりの『ルーブル美術館アブダビ分館』の目玉にしたかったのでは?と思われます。
目玉・・というか、宣伝??
実際、「史上高額の絵画がルーブル美術館アブダビ分館に展示される」というニュースは、世界中で報道されたわけですから。
ものすごい宣伝になりました。
今、美術品が熱い!?
日本で、美術品のオークションを企画する会社では、
数万円~4000万円の美術品が約2000点保管されています。
この会社では、3ヶ月に1度オークションを開催しています。
そこでは、15年前に30万円だった絵画が4000万円もの値がついた物もあるそうです。
今、美術品に流れるお金がどんどん増えています。
美術品というのは贅沢品です。
余剰資金で買うものです。
それが今、売れていて、美術品の相場も上がってきている。
・・・というのは、景気が良くなってきているということなのでしょうか。
また、株式や不動産の他に、金融商品として購入する人が増え、
価格が上昇しています。
アートが好きで、それプラス資産性に興味を持つ人が、
購入することが多いのでしょう。
絵を大切に描いている僕にとっては、
「資産運用」のために絵を購入する人が多いというのは、なんだか悲しい気持ちですが、
日本でも絵が売れるようになるのは嬉しい事です。
ただ!
僕は「絶対に手離したくない絵」を描けるようになりたいっす!
頑張りますっ
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